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一流の会社を見分ける方法

創業者は夢と希望を持って、新規事業を立ち上げます。

しかし、その大半が夢半ばのまま頓挫していきます。

事業領域やサービス・製品そのものに問題があり、ビジネスとして立ち行かないという例も多いのですが、実際には、同じサービス・製品を扱いながらも、ある企業は成功し、ある企業は失敗して解散または吸収されていくことが少なくありません。

コンサルティングファームを立ち上げたとします。通常は、他社のスター級コンサルタントを引き抜きますから、コンサルタントの質やサービスの質は他社に引けを取らないと考えられます。しかし、現実には、どれほど優秀なコンサルタントを引き抜いたとしても、きわめて卓越した業績を残すことができる企業と、残せない企業に分かれることになります。

事業戦略があいまいであって資本投下が不十分であった、といった理由ももちろん影響します。しかし、それは創業時にはなかなか見分けることができるものでもありません。

しかし、先日、戦略コンサルティングや投資アナリストといった親友と話して気がついたのですが、私たちのように企業の内側に入り込むビジネスをしてきた人間は、創業時にこの成否を肌で感じることがあるのです。

ある友人は「日本に外資系証券会社が進出してきたその瞬間には、すでにA社とB社の二社がずば抜けて勝つことが自明であった」と言い切りました。

「どの会社も、アナリストや外交員は一流だった。でも、A社とB社だけは、人事・総務・IT・経理財務といったバックオフィスの管理職も超一流、スタッフも一流だった。バックオフィスにいる人であっても、一定のトレーニングを積めば、間違いなく現場で一流のパフォーマンスを発揮できるだろうと思われた。しかし、C社になると、バックオフィスに超一流の人はいなくなり、そこそこ優秀ではあるものの、現場では優秀なパフォーマンスを発揮できないだろうな、という人が配属されていた。D社に至っては、現場に出すことはできないと思われる人しかいなかった。」

これが、そう感じた理由だそうです。間接部門の優秀さなんて、どうやって判断できるの?と思われるかもしれませんね。でも実は、間接部門の優秀さといのは、外からも比較的簡単に判別できるものなのです。

  • ウェブサイト(ホームページ)の見やすさや情報の的確さ
  • 人材採用に応募した際に面接の可否や結果の返信が来るスピード
  • 人材採用時に人事部門が募集中の職種の業務をどの程度明確かつ正確に伝えることができるか
  • 契約書の内容や文章の適格性
  • 見積書や注文書のフォーマットの分かりやすさ
  • 見積依頼・注文などをした際の返信が来るスピード
  • コールセンターや営業マンに対して、経営指標や事業ビジョンや機密保持に対する考え方など、商品・サービスと直接関係しない質問をした際の回答の質とスピード

もし、オフィスを見ることができれば、さらに簡単に判断ができます。

  • 机上の整理整頓(クリアデスクと呼びます)ができているか、できていないとしても十分な什器類が用意されているか
  • 集中して行うべき作業を行う場合や個人情報・機微情報を取り扱うスペースが他のスペースと隔離されているなど、現場がセキュリティやIT機器の制約を意識せずに業務に集中できるファシリティ設計になっているか
  • 社内の本棚にどういう書籍が置いてあるか、書籍に埃がかぶっていないかなど、社員の情報へのアクセスを誘発するレイアウトや仕掛けになっているか
  • 間接部門の社員が、こまめに積極的に直接部門のスペースに顔を出しコミュニケーションをとろうとしているか

新規ビジネス・新規事業を立ち上げれば、可能性を信じて多くのチャレンジングな人たちが集まります。特に創業期の直接部門には、セルフスターターで自律性・自立性が高い優秀な人たちを集めることができます。

しかし、残念ながら、多くの経営者は直接部門の拡大にのみ注力し、間接部門・バックオフィスが卓越したパフォーマンスを発揮する必要性を軽視しがちです。

先日、「うちで働く以上、間接部門の能力が低いのは所与の条件だと思ってもらわないといけない」と言っている人がいました。おそらく、そちらの会社ではそれが真実なのだとは思います。ただ、よく考えてみてほしいのです。

どれほど優秀な現場社員を雇用したとしても、この現場社員達が、非効率な業務プロセスや不透明な経営判断に翻弄され、社内向け業務(多くの場合が会議や書類仕事)に相当な時間をとられるとしたら、前職にいたときの同じだけの高パフォーマンスを発揮することができるのでしょうか?

私自身が、管理部門出身者なので、もちろん自分の職種を正当化している可能性はありますが、それでもやはり、現場でも超一流のパフォーマンスを発揮することができる人間が管理部門に多く在籍している組織ほど、将来性は高いと感じています。

企業の成長期に経営者が「優秀な社員には外貨(売上)貢献をしてもらいたい」と考えるのは自然なことです。しかし、それでもなお、踏みとどまって長期的視点に立って、経営の骨組みを整備するために優秀な人材をバックオフィスにとどめる勇気を持ってほしいと思います。

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