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速読やロジカルシンキングの前に、生き延びるためのたくましさを身につけよう

この記事で書いた大型バイクにひかれた男性は、翌日に亡くなりました。亡くなった男性を助けようと道路に飛び出した男性は、逃走するバイクに鞄を巻き込まれ、左腕を複雑骨折し、今週の金曜日に手術を受けることになりました。

二人をひき逃げした犯人は、逃亡を続けていましたが、事故から丸3週間が経過した今週の日曜日に逮捕されました。賠償能力など全くない若者が犯人でした。

左腕を複雑骨折した男性は、日雇いの土木作業員です。手術から数ヶ月は仕事ができません。もちろん、失業保険などありません。

区役所の福祉担当や病院の担当者に聞いても、「交通事故は加害者がいるので福祉では担当できません」と言われ、どうしたらいいのかと呆然としていました。

そこで、交通事故の被害者救済の政府保証事業の概要を説明しました。

一昔前は、加害者に経済力がなかったり、ひき逃げにあった被害者は泣き寝入りしかありませんでした。今は、国の保証事業があります。しかし、この制度は2年間しか申告期間がありません。山谷には、ひき逃げや交通事故の被害にあったことが原因で家と仕事を無くし、路上や簡易宿泊所で生活をしている人がたくさんいます。数十年前のひき逃げ事故が原因で路上で生活をしている人は使えません。

とはいえ、この男性は、この制度を使うことができます。

病院や区役所のソーシャルワーカーがこの制度を知らないはずがありません。しかし、説明していませんでした。多くのソーシャルワーカーの労働環境は、生活に困窮している人に最低限度の情報提供をする時間的・精神的ゆとりもありません。これが、日本の福祉の現状です。私たちは、いざとなったときに、どこに行けばどういう情報を得られるのか、という程度の、最低限度の生き延びる知恵を、普段から身につけておかなければいけません。

今週号のSPAでは、まるで生活保護を受けることが簡単であるかのような多大な誤解を与える特集がされています。しかし、現実問題として、東京都台東区や荒川区に現住所がある若年者は、障害手帳を持っていてさえ生活保護を受けることができません。

また、生活保護を受けて遊んでいる、と記載されている人たちが、なぜ働かないのかについての記事は、あまりにも偏りがあり、少なくとも私が知っている多くの生活保護受給者の現実とは異なります。

おそらく、このブログを読んでいる大半の方は、生活が困窮した場合に公的支援を受ける方法を知らないと思います。生活保護という言葉は知っていても、若年者(笑っちゃうことにこの場合の若年者の定義は65歳未満です)が受給するためにはどういう団体と関わらなければ行けないのか、その結果としてどういう人生が待っているのかまでは知らないと思います(一般大衆紙が特集することはありませんから・・・。興味を持たれた方は、ネットでいろいろ探してみてください。)。

ひき逃げされて、働けなくなっても、あなたは屋根がある家に住み続けられる自信がありますか?

速読や、ロジカルシンキングの練習も大切ですけれど、生き延びるためのたくましさを育てることを忘れてしまっていないでしょうか?

論理的な思考力や、株の投資、お金の儲け方、こういう知恵や知識を増やすのも悪くはないと思います。しかし、こうした知識は、生きる力、生き延びる力があってこそ、発揮できるものだと思います。

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