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自己情報のコントロール権

日本の個人情報保護法では、営利目的以外で利用される個人情報に対する自己情報のコントロール権を認めていません。

自己情報のコントロール権というのは、自分の個人情報を他人が勝手に利用したり公開することをコントロールする権利が個人情報の所属主体にあるという考えです。

例えば、私自身はこのブログを仕事上の通称と幼少期からのあだ名(私をリアルで知る人間にとっては結婚や国籍変更で何回も氏名が変わる私の本名よりもあだ名の方が本名に近い意味があります)をプロフィール欄で公開しています。

(注:正確には、小さい頃のあだ名はLarge Amyの略としてのL&amyなので、友人からの手紙を見てみるとスペルがLammyではなくLamyで、発音もラミィではなくレイミィまたはレイジェミィでした。)

ですので、匿名でこのブログを公開しているわけではありません。ですから、私のこのブログのコメント欄で戸籍名や仕事上の通称で呼びかけられても、何も問題はないと思っています。

しかし、多くの人はネット上では匿名で情報発信・交換をしています。ですから、ハンドル名で書き込んでくださった方に対して、私がうっかりと本名で呼びかけてしまったりすると、これは個人情報のコントロール権に反した行為になります。

OECDを初めとするプライバシーのあり方を考える団体では、こうした「本人の意図に反した個人情報の公開」を望ましくないことだると見なします。

ところが、国内外問わず、うっかりとこれをやらかしてしまう人が後を絶ちません。また、中にはうっかりではなく「自分はインターネットの匿名性は担保されるべきではない」という個人的な信条から、ハンドル名で書き込んだ人の個人名を本人に無断で公開している人もいます。

個人情報保護法では禁止していない行為です。ですので、多少は個人情報やプライバシーについて学んだことがある人であっても、これが違法行為であったり、何らかのガイドラインに抵触する行為だとは全く思っていない(単に無知が原因でやってしまう)ことも少なくないようです。

しかし、実はこれは個人情報保護法ではなく「プロバイダー責任制限法」に照らし合わせて、変更依頼をすることが可能な行為です。(掲示板やブログの管理者に削除・変更要請をしても対応してもらえなかった場合はリンク先の流れに従って対応することになります。)

ブログやホームページ、掲示板は簡単に開設できてしまうため、自分自身がプロバイダやマスコミと同じ責任を課せられるということを意識せずに、無断で他人の個人情報を公開してしまう人が後を絶ちません。また、実は、この「公開するという」行為自体を禁止する法的根拠はありません。

プロバイダー責任制限法が要求するのは、個人情報を公開された本人からの削除や変更要請があった時に、掲示板やブログの管理者が本人の要請に従って削除・変更をすることです。

つまり、毎日他人の個人情報を公開しつづけるブログがあって、毎日本人から削除依頼が来ているとします。削除依頼に基づいて、一定の合理的期間内で情報を削除している限り、毎日無断で公開をしても、その行為自体は禁止しにくいわけです(そのため、2chのような巨大掲示板が法的には成り立つわけです。)

これが、この法律の運用の難しいところです。

企業のセキュリティ対策として、どうやって掲示板に書き込まれた記事を削除して回るかという支援をしていると「そもそも書き込み自体を禁止する法律があればいい」という発言を聞くこともあります。しかし、投稿すること自体を禁止してしまうと、これは基本的人権に反してしまいます。

ですので、プロバイダー責任制限法というのは、現行のシステム上の制限(個人認証を前提としないIPネットワーク網を基盤としたインターネット網)や基本的人権を鑑みると、極めて現実的な法律だと感じています。

情報を発信するということは、とても良い勉強になります。ですから、ブログや掲示板・ホームページを持つことは、とても良いことだと思います。

しかし、情報を発信するということは、同時にある一定の責任を伴うということを自覚しなければいけません。

情報発信の一環としてブログを持つように勧めている記事や、ブログを簡単に開設できることを売りにしているプロバイダ・キャリア勧誘を見かけることがよくあります。

しかし、単なる日記の延長としてではなく、社会インフラを使って情報を発信するということの意味と責任を自覚したうえで情報発信をするように薦めて欲しいと思います。

また、ブログや掲示板を開設する人たちは、自分自身が法律に守られて生活をしている以上、自らも遵法精神(コンプライアンス)を軽視せずに、積極的に情報を収集し、自分自身が誤った行動を取ってしまっていた場合には、進んで訂正して欲しいと思います。

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