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司法試験は簡単

「今、振り返ってみると司法試験は簡単な試験なんですよ」

先日、10回以上、司法試験に落ちて、苦しんだ知人が、サラッと言いました。

彼の苦労を知っているので、かなり驚きました。

しかし、その理由を聞いて、心底納得しました。

「弁護士として、数十年働いてみると、自然と、法制度はこういうものだという感覚が身に付いて来るんです。あるべき姿が分かると、あの試験も、そんなに難しい訳でもないんですよ。そう考えてみると、新人弁護士の報酬って高すぎますね。」

本当にそうだなぁ、と思います。

司法試験に必死に受かったばかりの人と、法律の本質が見えている人のどちらに仕事を依頼したいか、は自明の理だと思います。

これは、法制度に限らない話ですよね。

プロフェッショナルとして働き続けるためには「こういうものだという感覚」をどう身につけるか、がとても大切ですよね。また、サービスを受ける側からしてみると「こういうものだという感覚を身につけているかどうかを、どう判断するか」がとても大切だと思います。

J-SOX対応で、多くの上場会社が内部監査人を増やそうとしています。

コンサルティングファームの中には、監査を「チェックシートを持ってきいて回ったり文書や記録を見る定型作業」という扱いで、人手不足に苦しんでいるクライアントに、コンサルティングサービスで使い物にならない3流以下のコンサルタントを当てています。

監査(会計監査でもシステム監査でも何でも良いです)という仕事をやったことがあれば、どれほど優れたチェックリストがあっても、良い監査を行うことができないということは、簡単に分かります。

しかし、やったことがない方には、この「良い監査」という感覚が理解できないのです。「監査というのはこういうものだという感覚」が分からないようです。

たちの悪いことに、日本の多くの企業が、今まで真剣に監査役監査や内部監査に取り組んでいませんでした。そのため、サービスを受ける企業側も「監査役監査や内部監査というのはこういうものだ」ということを理解していません。

そのため、巷には「え~、それでお金取るの?」と驚愕してしまうような、とんでもない内部監査のアウトソーシング会社がポロポロと出始めています。

ある重要インフラ企業は、年中、監督官庁からの監査を受けているためか、こうした新興監査サービス企業に対する警戒が強く、情報セキュリティ監査の御発注をいただく条件に「御社の監査手順書と監査マニュアルを見せてください」という要求をしてきました。

守秘性が高い内容なので、そのままは開示することはできませんでしたが、私としては、こういう要求をしてくださる意識が高いお客様に選んでいただけた、ということの方が嬉しく感じられました。

来年度、内部監査、特に業務プロセスやIT全般統制の内部監査をアウトソースする予定の企業はたくさんあると思います。

多くの、監査というものの本質を理解していない、応急処置的に監査人を増やしているコンサルティングファームに騙されないためにも、価格や監査人の資格だけで判断をせず、RFPには「監査倫理要綱」「監査手順書の作成手順」「監査規程」を開示するように要求してみてはいかがでしょうか?

もちろん、これだけで「監査というものの本質」を理解しているかどうかを判断することはできません。しかし、こうした手順書を読んでも監査というものの流れや効果が理解できないとしたら、少なくともそういう会社の提案は受けない方が良いのではないかと思います。

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