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会社は社長の器よりも大きくはなれない

  • 会社は社長の器よりも大きくはなれない。

  • 資本を持っている人と技術や知識を持っている人が対応に互いを尊敬しながら一緒に働くことに意味がある。

  • 資本を持っている人が、自分にとって都合が良い技術や考え方だけを場当たり的に採用するだけで、技術や知識を持っている人をパートナーと見なすことができない組織では、異能集団として成功することはできない。

  • 社長は、自分が分かる仕事を増やしてはいけない。

海外のコンサルティングファームで社長をしていた方の発言です。技術も言葉も通じないファームで社長を務めるにあたり、自分で自分に課してきた戒めだったのだろうなあ、と思いながら聞いていました。

どれも、とても心に響きました。

例え本人に知識や技術がなくとも、資本がなくとも、パートナーと見なすことができる人と組むのであれば、互いを補完しあうことは可能だと思います。

トップクラスのベンチャーキャピタルでは、こうした専門集団を理解しパートナーとして取り扱うための訓練を社員に実施します。(そのため、買収候補企業のデューデリジェンスの際に統制環境の監査を合わせて実施し、どのようにして融合・理解促進を進めるかを検討するとうフェーズを持つキャピタルファンドもあります。)

しかし、大企業が異業種に自力で進出して来た場合など、こうした専門集団が介入していない場合、技術者と資本家が互いを理解しようという意欲も見られないこともあります。

こうした場合、中期的には必ず、社風が悪化し有能な社員が退職したり、利益率が低下するという事態を招きます。長期的に安定経営を目指すことは不可能です。

ですから、一般的には「儲かっているうちに同業他社に売却する」ことで、株主としては売却益を得られますし、社員としては異なる価値観に振り回されるという本業とは異なる精神的なストレスを軽減することが可能です。ですから、EXITプランとして「売却」をすることは、資本家・社員双方にとって最良の選択となりえます。

私は、個人的には、トップマネジメントが同質性の罠にはまり、異なる価値観を受け入れる器がないのであれば、売却が最も望ましい選択肢だと考えています。しかし、最良の選択は、あくまでも「上述の3つの発言のような価値観を持ち、自分が持っていないもの(資本・技術・知識)を持っている相手に対する尊敬を持つ人がトップマネジメントに就任し、自分が持つ価値観を組織で浸透させていくこと」だと思います。

自分とは異なるものを持っている人を対等なパートナーと見なし、尊敬し、相手の価値観と自分の価値観は「違っているけれどもどちらも重要視すべき」であるというスタンスを維持することができる人にこそ、異能集団を率いるトップに就任して欲しいと思います。

トップが、自分とは異なる価値観や技術・知識を大切にすることができれば、トップと自分の意見が異なっていても、直言しようと考える上級管理職が必ず出てきます。ですから、社長本人に技術や知識がなくとも、判断ミスを防ぐグループダイナミクスが働きます。

人事出身の社長が人事部門を拡張しようとしたり、営業出身の社長が営業部門を強化したり、経理出身の社長が経理や会計が分かる社員を増員する。

とても一般的な光景です。

しかし、この増員・強化の背景に「自分が分かる業務を増やしたい」というトップの意向があるとしたら、どうでしょう?

会社は、社長の器よりも大きくはなれません。

自分の専門分野を増強しようとする時は、胸に手を当てて「同質性の罠」にはまっていないか、考える習慣を身につけないといけないなあ、と気づかされました。

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