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勉強本ブーム

友人の出した本(「無理なく続けられる 年収10倍アップ勉強法」勝間和代著)がきっかけとなって、世の中では勉強本ブームと呼ばれるものがおきています。大手書店のビジネス書のコーナーに行けば、ブームのきっかけとなったこの本を筆頭に、私も大好きな「レバレッジ・リーディング」などの良書が平積みになっています。平積みになっているのは比較的良書が多く、はずれが少ないコーナーとなっているので勉強方法に煮詰まっている方には、とてもよい参考になると思います。

勝間さんのブログはこちらからどうぞ。

ただ、こうした本の読者レビューの多くにはかなりの違和感を覚えざるを得ません。本来でしたら、友人が出した本ですしこのブログでもとりあげて宣伝しようかとも思ったのですが、アマゾンやmixiのレビューでこうした勉強本がどのように取り扱われているのかを見るにつけ、ブックレビューを書くことに抵抗感を感じてしまい、なかなか取り上げませんでした。

勉強本の著者達にとっては、学ぶことは楽しいけれどいろいろなことで挫折してしまいがちだから環境を整えて工夫しよう、というのが根本思想にあるはずです。そもそも、学ぶことが楽しくもなんともないただの義務感でしかないと感じているけれど勉強せざるを得ないから環境を整えて勉強を継続しましょう、という本ではありません。

しかし、読者レビューの中には「勉強しなきゃダメだなと思った」という視点のものが多く、そもそも著者達とは学ぶことに対する立ち位置が完全にずれていると感じられるものが多数あります。

赤ん坊が学ぶことを楽しいと感じなかったら、人間は言葉を覚えることができません。学ぶことを楽しいと感じられるのは人間の基本的な欲求充足の在り方です。しかし、残念ながら人は幼少期から大人になるまでの間にプラスにならない学習をたくさんします。

赤ん坊の頃は、覚えることが楽しくて、楽しいから学びを重ねていたのに、いつのまにか「良い成績を取るため」「親に誉められるため」「友達に負けないため」「自己実現のため」など、自分の力を見せ付けるための学習へと変容していきます。そして、少しずつ、学ぶことが楽しくなくなっていくのです。そして、学ぶことで得られなくなった楽しみの欲求を別の方法で充足しようとしていきます。

その方法は人によって異なります。テレビを見る、ギャンブルをする、酒を飲む、美味しいものを食べる、いろいろな方法があります。どれも、楽しいと感じることもできる行動です。しかし、それを楽しいと感じるようになったのは、もしかしたら学ぶことが楽しくなくなってきたからかもしれません。

ここ5年間、採用面接の場で大きく感じる違和感があります。それは、学ぶことが楽しく仕方がない、というメッセージを全身から発信していない人がコンサルティングファームを志望して、わざわざ面接にまでやって来る、ということです。自発的に何かを学ぶのではなく、人に指示されたことを「覚える」という勉強しかせず、そうした勉強で良い成績を獲得してきたことで「自分は頭が良い」と思い込んでいる人がたくさん来ます。

勉強本ブームの中心がこうした「覚えること=勉強」というタイプの人なのだとしたら、勉強本を使って更に頭が悪くなる、という悪循環になります。それは、著者達の希望するところではないだろうし、私自身も自分の部下に期待するところではありません。

繰り返しますが、本来、人間にとって学ぶことは楽しいことのはずです。飲んで騒ぐことよりも、だらだらとテレビを見ることよりも、新しいフレームワークを身につけてそのフレームワークを使う喜びは大きいはずです。ですから、学ぶことを楽しいと感じられないのだとしたら、それはカウンセリングの領域であって、ノウハウの問題ではありません。学ぶことでワクワクしないのだとしたら、勉強本を読んでノウハウを身につける前に、なぜ学ぶことでワクワクしなくなったのかをセルフカウンセリングして欲しいと思います。

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