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外資系企業で女性活用が進んでいる理由

先日、日本資本企業以外で勤務したことがない熟年男性達とダイバーシティや女性活用といった視点の会話をしていました。

私にとって、日本に進出してきた外資系企業で女性の活用が進んだ理由は、明確でした。おそらく、このサイトで常連として書き込みをしてくださっている方々にとっても、それは「常識」だと思います。

正解は、

知名度がなくて、スキルフルな男性や男子学生が採用でいなかったから。

特に私が働き始めたバブルの真っ最中は、大手企業に大学卒であれば誰でも入れた、と言えるほどの超売り手市場。日本に進出したばかりの知名度もゴーイングコンサーンにも疑義がある外資系日本法人(や駐在所)で、有能な男子学生など、採用でいるはずもない時代でした。

あれから20年が過ぎた今、立ち上げの困難を担ってきた現地法人の社員が管理職となり、幹部社員となり、結果として女性を積極的に活用して日本市場で生き残れた外資系企業だけが注目を浴びているわけです。

ところが、日本資本の企業でしか勤務したことがない男性にとって、この事実は全く知らないようでした。

外資系企業が女性、育児をしている人、介護をしている人を積極的に活用してきたのは「それだけの時間的、精神的な余裕があったから」「欧米では男女平等が当たり前だからその理念を導入したから」と思い込んでいたようです。

当然のこととして、彼らには、知名度がない組織で多様な働き方を認めないと、その組織には将来がない、という概念がありません。

私は、立ち上げ期のコンサルや研究所に勤務してきました。だから、自分自身の実感として「知名度がない中小企業ほど多様性を認めなければ生き残れない」と、絶対の自信をもって言い切ります。

私が、どの組織でも多様な働き方を認める組織作りをしたい、と言い張り続けてきたのは、私の信念や理念以前に、そうでなければ生き残れないという切実な危機感があるからです。

しかし、立ち上げ期の企業に勤務したこともなければ、会社の知名度で苦労をしたこともない人たちにとっては、「多様性という理想論はわかるけど、そんなことは会社が大きくなってから考えればいいことだ」となるわけです。

つまり、日本の大企業出身者にとって、労務管理の原則は「企業が管理しやすいように画一的に」という立場であり、多様性は「余裕があったらやること」です。しかし、私にとっての原則は「できるだけ多様に働かせる」という立場であり、管理は「管理職が未熟・無能で管理できない場合にだけ強化するもの」です。

この二つの考えは決して相容れることはないし、両立させることは不可能です。組織は、組織設計の段階でどちらのスタンスを取るのかを明確に定めなければいけません。

景気の回復にともない、有効求人倍率はどんどん上がっています。特に、組織がほしがる地頭が良い人は、争奪戦だと言ってよいでしょう。

こんな中で、多様性を認めずに管理を強化する企業が生き残っていくことは不可能です。

しかし、残念ながら、そのことを理解している企業の幹部はまだまだ少数です。そして、こういう幹部の下からは、心ある人たちはどんどん流出していくことでしょう。

20年前に外資系企業が日本に進出した時と現代の大きな違いは、働き方に関する情報や組織風土・社風に関する情報は、ネットで検索すればすぐに入手できるということです。

20年前は、私のように「親の介護をしていて急に休みが必要になるかもしれない」とか「乳幼児を育てていて夫が全く協力してくれない女性」など、ある意味「ほかに選択肢がなかったから外資系に行った」という人が中心でした。

当時は、「会社で高い給与を得ること」「昇進すること」だけが正しい価値観で、その価値観に合意はするけれども、実践でいないという人が中心だったように思えます。

しかし、現代は「妻が専業主婦で子育ては彼女が中心だけど、平日の夜と休日は自分が中心に子供と向き合いたい」「会社で金銭を稼ぐことと、地元に貢献することを両立したい」といった価値観を持つ人が一定の割合で存在します。そして、私の実感としては、こうした価値観を持っている人の方が、少なくともコンサルタントとしては優秀である人が多いようです。

おそらくこの価値観は今後ますます加速すると思います。私は17年前に父親を亡くしているので、私の経験ではなく、同世代の友人を見ていての客観的な感想として、猛烈会社員として勤務し続けた親の退職後の姿を間近に見ている人が、劇的に価値観を転換させ、「仕事だけの人生なんてとんでもない」といい始めることが多いからです。

現在、組織の中核として働いている30台半ばから後半の親が退職しはじめています。一部の退職者は、退職後に地元に受け入れられ、今まで以上に生き生きと生活しているでしょう。

しかし、私が知る限り、多くの友人は
・親が急に老け込んだ
・会社ではもう必要とされていないのに頻繁に会社に顔を出して迷惑がられている

と言って悩んでいます。

こういう姿を間近に見続けた世代がどういう価値観を持つようになるかは、明らかでしょう。

そんな時、知名度もない、多様性もない中小・中堅企業は、どうやって有能な人材を採用するつもりなのでしょうか。

多くの中小・中堅企業は「知名度がないから人が取れない、だから知名度を上げよう」と考えます。そして、多額をメディアに支払うわけです。しかし、中小企業にとって多額でも、大企業にとっては微々たる金額です。メディアへの露出の多寡で、大企業と争おうというおろかな戦略しか取れない中小企業が生き残れるはずがないでしょう。

みなさんが働く会社の原則は、どちらにありますか?その原則で将来にわたって生き残ることができますか?

どうかじっくりと考えてみてください。

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