ダイバーシティがあたりまえじゃない社会
この1ヶ月の間に、法人団体が主催するパーティに数回出席しました。しかし、出れば出るほど、パーティが苦手になってしまいます。2つのパーティを例に挙げて、何に対して不快感を感じたのかご説明したいと思います。
1つ目の事例は、チャレンジドな人達が社会で普通に生活していけるように支援していきましょう、という趣旨で開催されたパーティでの出来事です。
ゲストシンガーのレーナ・マリアさんのことが大好きなので、お誘いいただいた時には、喜んで出席のご返事をしました。母も誘って二人で出かけました。
しかし、結果として、私も母も大変 不愉快な思いをしてレーナさんの歌が終わったら帰ってきてしまいました。
まず、会場について驚いたのが、立食パーティであったこと。しかも、車椅子や杖での移動が難しい、厚手の絨毯敷の会場です。その上、食事のセッティングがしてあるテーブルは通常の立食会場と同じ高さにしか食べ物が置いてありません(車椅子だと目より上の高さになります)。テーブルとテーブルの間の通路は狭く、車椅子の人達は遠慮して誰も食事を取りにいきませんでした。
また、心肺機能に障害がありボンベ持参で参加している人が数人いるにも関わらず、明らかに喫煙直後と分かる強烈な臭いをさせているスタッフが多数いることにも、強烈な怒りを感じました。
アスペルガーと思われる人もいるのに、ライトをチカチカさせる演出や大きな破裂音がする効果音を出すことにも、唖然としました。
視力が弱い母にとっては、会場に付いてからスタッフは何の案内もしれくれず、会場案内図もなかったため、不安で自由に移動することもできませんでした。
スタッフは一体何を考えているのでしょうか。パーティの趣旨と正反対の演出と会場セッティングをしたのは何故なのでしょうか?スタッフの意図は分かりませんが、怒りと情けなさで、さっさと会場を後にすることにしました。
2つ目の事例です。
このパーティは、あらかじめ出席者のリストをスタッフが持っていました。参加者の最高年齢は75歳、60歳以上が5人、妊婦が1名以上 出席すると分かっていたパーティです。
しかし、パーティが始まってから1時間以上、スピーチが続きました。その間、参加者は立っていなければいけませんでした。常識的に考えて、立食パーティで許容されるスピーチの時間は最大でも30分、通常は15分づつ数回に分けてプログラムされるものです。しかも、今回は70歳以上の高齢者も、妊婦もいると分かっているわけです。
参加者の性格によっては、周りの人が立っていても、堂々と座ることができる人もいます。妊婦のように、周りが理解しやすい場合は座りやすいでしょう。しかし、ビジネスパーティでは、いくら高齢であっても男性は、周囲に対するプライドから、まず、座りません。主催者側が配慮して、疲れやすい方が参加している場合は、立っていなければいけない時間は可能な限り短くすべきです。
しかも、このパーティは高齢者が食べられるものがほとんどありませんでした。私は、同じ会場でパーティに出たことがあるので、この会場では最安値のコースで、ソバやてんぷらも出せるということを知っています。ですから食事の選択は、明らかにスタッフの好みです。あまりの思いやりと配慮のなさに、怒りを通り越して情けなさを感じました。
1つ目の事例も、2つ目の事例も、スタッフは主に20代後半~30代前半で構成されていました。今の日本の現状では、核家族があたりまえで、この世代の人達は地域活動のチャンスも少なく、幅広い世代や心身条件の人達と触れ合う機会が乏しいのかもしれません。会社で一心不乱に働くことが自分の役目で、パーティを企画しろと言われたら、言われた予算で自分にとっては支障がない範囲でセッティングをすれば満足なのかもしれません。
しかし、実体験がなくても、相手の立場に立って想像してみることはできるのではないでしょうか。なぜ、ここまで相手のことを思いやらない仕事をするのでしょうか。想像力を働かせるということが、そんなに疲れることなのでしょうか。
おそらく、両パーティのスタッフとも、自分の仕事の品質に問題があったとは、今 現時点でも思っていないでしょう。しかし、彼らがダイバーシティという感覚を身につけない限り、こうしたことを繰り返し続けると思います。
2つ目のパーティのスタッフがダイバーシティを大切だと思っているのかどうかは知りませんが、少なくとも1つ目のパーティのスタッフは、思ってるはず、ですよねえ・・・・。
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